齋藤薫さんの「されど“服”で人生は変わる」を読んだ。
洋服や靴やカバンが結構好きなので、ファッション雑誌やコーディネート本などは機会があれば割と手にとる方です。
で、最近のコーディネート本にありがちな、とりあえずユニクロとGUと海外ファストファッションブランドをひたすら組み合わせて、「これが高みえ」と高々と宣言するような内容が表面的に見えてしまっていたところにこの本を読んで、「そうそう、表面的なコーディネートだけじゃなくてこういう根本的な考え方を教えて欲しかったんだよ、私は!」と膝を打っておりました。(ていうか、「⚪︎⚪︎見え」って誰が言い出した。若干食傷気味。)
「男たちは、スーツを着てセクシーに見える女が好きだった」
初っ端のテーマがこちらです。
男性にインタビューをすると、意外とスーツというかスーツが似合う女が好きという回答が多いのだそうです。これはスーツを礼賛しているわけではなく、作者は、スーツとはその人の中に潜んでいる頭の良し悪しみたいなものを露骨に出してしまうから、スーツが似合うかどうかはその人が本当にカッコ良いかどうかの判断基準になるということを言っております。なるほどね〜
後から見たら、この原稿が執筆されたのが結構昔(2000年代前半に雑誌で連載していたエッセイを集めた内容だった)で、当時は、今ほどプチプラ万歳みたいな風潮でなかったから、プチプラの話が出てこないのかもしれませんが、スーツの話が書いてあるコーディーネート本ってなかなかないので新鮮でした。
私はスーツに準じる服装で勤務しているので、巷のファッション雑誌でいわゆるお仕事服と表現されているものは、「こんなカジュアルな服で会社になんて行けないよ」と心の中で呟いていたので、スーツにスポットを当ててくれたのは新鮮であり嬉しかったりもしました。
また、男と一緒に歩くときは男より上等な女の服装をすべしとか、女と会うときは尊敬されるようなセンスを見せろということが書かれているのですが、面白かったのは、では男も女もいる場所では?という問いに対する答えが、ネイビーが無敵ということでした。
男と会うときは、くすんでいない色の服を着ることが鉄則であるという点でネイビーはクリア、女と会うときはやっかまれない服である必要があるので、女目線の地味色であるネイビーは基準クリアということになり、みんな笑顔の服がネイビーなのだそうです。さらにストライプもネイビー同様両方から好感を持たれる柄ということで、ということは、ネイビーにストライプの柄のワンピースとか無敵なんじゃないの・・・と思ってしまいました。
冒頭で、スーツの話題が出たものの、本全体は、「きちんとカジュアルで一目置かれるのがオシャレさん」という内容で、オシャレであるためには、小物使いに命を懸けよと繰り返し記されています。
なんとなく分かっていましたが、改めて言われると身が引き締まる思いがしますよね。(何に対して?)
実は、私は「キレイめカジュアル」(上記の「きちんとカジュアル」ではない。)に対し、キレイめなのかカジュアルなのか中途半端なんじゃ!と常に心の中で叫んでおりました。
ところが、「キレイめカジュアル」と「きちんとカジュアル」がほぼ同義とするならば、「キレイめカジュアル」を制さないことにはオシャレ道極めることにあらず、であることに雷を打たれるような衝撃を受けて、キレイめカジュアルも積極的に頑張ってみようかなと考え始めました。
そう、この本はオシャレを頑張ることに対して前向きになれるよう背中を押してくれる本なのです。
昨今のファッションに関する思想の流行りは、ミニマリスト思想であったりプチプラ礼賛であったり、オシャレに投資をすることとは反対の風潮となっています。
しかしながら、この本はオシャレに投資することで、自分が輝けることをハッキリと謳っていて、目的がきちんとしていれば高い服を買ってもいいんだ!と思えたり、ワクワクした気持ちになることができました。
(まあ、この本が書かれたときから随分と年数が経過しているので、齋藤薫さんも今だったら同じ内容は書かないかもな・・・とは思わないことはないですが。)
週末に向けて手持ちの服などのコーディネートを考えるのが楽しみでたまりません。