あめちゃんの読書日記

目標は年間100冊読書して本の感想を詳しく語ること

有川浩さんの「レインツリーの国」を読んだ。

レインツリーの国 (新潮文庫)
読みました。
このお話は、図書館戦争シリーズで出てきた童話を舞台等を少し変えて小説にしたものと認識しています。
学生時代に読んだライトノベルの感想を誰とも分かち合えなかった青年男性が、偶然ネットでそのライトノベルの感想を書いてあるサイトを発見して、そのサイトの管理人と連絡を取り合います。
管理人は同世代の女性で、メール交換をしているうちに直接会いたくなってしまう男性。
思い切って会う約束を取り付けますが、要所要所で彼女の様子が不自然であることに気づきます。自分といるのが苦痛とは思われないが、自分の喋ったことが全て伝わっていなかったり、こだわるポイントが独特だったりするのです。
デートの終わりかけ、あるトラブルをきっかけに彼女が中途失聴者であることが判明します。
その後、男性は中途失聴者であってもこれからも会って話したいとメールで伝え、お互い努力をすることを決めますが、考え方にすれ違いの日々が続きます。
あれやこれやを経て、一山越えたかなという明るい展望が拓けたところで物語が終了します。

私は身近に明らかな障害者がいないので、主人公の彼のような思いをしたことがありません。
確かに、健常者だけの発想だと、「ヒトミ」とああいう風にすれ違うんだろうなという感想です。
百聞は一見にしかずというか、いくら分かる努力をしても実際接してみて初めて分かることが沢山あるのだろうと思ったのと、それは障害者の方との交流だけでなくその他の事象についてもそうなんだろうなと改めて感じました。だからと言って、初めから分かる努力を放棄してはならないし、だからこそ相手も理解してくれようとするのかもね、とぐるぐる考えてしまいます。

ところで、ヒロインの「ヒトミ」は垢抜けない風貌ですが、聡明であるという設定です。
だから文字同士の交流時点で、主人公が会いたいと思ったわけですが。

で、前から思っていたことなんですけど、この小説に限らず小説を読んでいていつも思うのですが、小説に出てくる男性や女性ってみんな魅力的に描かれますよね。特に女性。現代小説でも時代小説でもそうです。美人で聡明で一本筋が通っていて勇気がある・・・みたいな女性ばっかりじゃないですか、小説の登場人物って。武士の娘のお雪とか!(イメージ)
もちろん、そうじゃない登場人物もいるはずなんですけど、なんでですかね。

漫画だと、美人でもなくおっちょこちょいだけど憎めないヒロインがいい男と結ばれるという話がゴロゴロありますよね。
それをそのまま小説にしたら、なんか・・・無理があるというか、「美人でもなくおっちょこちょいだけど憎めない」以外の情報を付け加えないと、いい男と結ばれる理屈が立たないことになります。
で、あれこれと上記以外の魅力的な部分やエピソードを加えていくと、自ずと正真正銘の良い女のように描かれることになるのかもしれないな、と結論付けました。

それにしても、やっぱり有川さんの描く男性はカッコ良いです。
身近に魅力的な男性が多いのですかね。

なお、有川浩さんを読みまくるシリーズは一旦ここで休憩します。