あめちゃんの読書日記

目標は年間100冊読書して本の感想を詳しく語ること

18冊目江上剛さんの「ラストチャンス」を読んだ。

ラストチャンス 再生請負人 (講談社文庫)
江上剛さんつながりということで、手にとりました。
やはり小説ってすいすい読めて止まらなくなり、家事が疎かになりますよね。
主人公の樫村は、勤めていた銀行が合併されたことにより銀行からカード会社への出向を命じられ、退職を決意します。
あらゆる知り合いに転職の口をお願いするものの、なかなか良い話が舞い込んでこない中、投資会社の山本によって、飲食フランチャイズ会社の財務担当役員として、勤務するよう頼まれました。
経営状態を確認しているうちに、巨額の負債があることが判明し、会社を救うため、資金集めに奔走したり、本業の立て直しを図ったりする中で、元同僚に嫌みを言われたり美人社長に誘惑されそうになったり、数々の困難を乗り越えついに…

というお話ですが、面白かったです。
私は飲食フランチャイズ会社について、全然知識がなかったので、フランチャイズの権利を売るのが商売になる仕組みや、権利を売るからにはフランチャイズ会社で春夏秋冬のノウハウを蓄積してから売却するのが普通だとか、興味深く読み進めました。

登場人物で好きだったのは岸川さんです。
当初財務部長だった岸川さんは、最初は樫村への協力に消極的であったものの、最終的に最大の協力者になりました。岸川さんの心境の変化を楽しく読み進めることができました。

気になる点としては、今後樫村はどうするのかな?ってことです。うーん。

あと、「樫村」と聞くと、島耕作シリーズに出てくる島耕作の同期で出世頭で島耕作のことが好きで海外赴任先で殺されてしまった樫村を思い出してしまう私。

この小説の樫村さんも東大出身で優秀という設定ですから、「樫村」には優秀な人物というイメージがあるのかもしれませんね。

17冊目 福田真琴さんの「コスパのいい服」を読んだ。

大人気スタイリストがすすめる コスパのいい服

福田麻琴さんは、フレンチカジュアルが得意なスタイリストの方で、これまでも何冊も本を出されているのでご存じの方は多いと思います。

福田さんが紹介されるコーディネートの良いところは、無理がないところ。
コーディネート本の中には、そうは言っても実際にはできないよ、というものが少なくありませんが、無理が伴っておらず実践出来そうに思えるところが好きです。

加えて、何がなんでもプチプラを貫き通わけではなく、メリハリをつけて、良いものは高くても求めるというスタイルがワクワクしました。

この本の中で、買ってみようかなと思ったのはユニクロのスキニージーンズ。ユニクロジーンズは何度か買ったり試着したりしていますが、これだ!というものに出会えていませんでした。
どうにも、風合いが安っぽく見えてしまったり、足の形に合わないような気がして、若い子なら似合うのかなぁなどと思っていたわけです。
ですが、福田さんがおすすめしているスキニージーンズは、確かに試してもいなかったなと思ったので、今度ユニクロに行く機会があれば早速試着してみようと思ったのでした。

江上剛さんの「多加賀主水シリーズ」を読んだ。

庶務行員 多加賀主水が許さない (祥伝社文庫)

庶務行員 多加賀主水が悪を断つ (祥伝社文庫)

庶務行員 多加賀主水が泣いている (祥伝社文庫)

庶務行員 多加賀主水がぶっ飛ばす (祥伝社文庫)

銀行ものです。

一気に読みました。

①多加賀主水が許さない

②多加賀主水が悪を断つ

③多加賀主水が泣いている

④多加賀主水がぶっ飛ばす


これまで職を転々としてきた影のある男、多加賀主水。行きつけの料理屋での乱闘騒ぎの始末の付け方を見込まれて、「あの男」の密命を受けて第七明和銀行高田通り支店の庶務行員として勤務することが決まります。

主水は、振り込めサギをすんでのところで防ぐなど、高田通り支店のトラブルを解決していく中で、合併のイザコザが色濃く残っている第七明和銀行で旧行同士の融和が進むよう暗躍することとなります。

主水は腕が立つものの、今は庶務行員という立場のため、高田稲荷の使いに扮して悪者や道を踏み外そうとしたものを懲らしめたり、諭したりします。

高田荷原の使いの正体が主水だと知っている、支店の窓口担当者の女性や営業担当の女性等一部の行員が、事件の度に協力してくれます。

で、感想ですが面白かったです。


本は、小さな事件を解決しつつ最後は壮大な答えを出すような構成になっているので、展開が早くサクサク読めますし、分かりやすい勧善懲悪物ですので、読んでスカッとします。

考えさせられることもないですし、暗い気持ちにもならないし、気分転換の読書としてはお勧めです。

銀行の小説というと、半沢直樹シリーズが有名ですが、あちらが銀行の中でサバイバルするお話なのに対して、こちらは銀行という舞台の上で、アレコレ事件が起こるという感じでして、銀行の闇にどっぷりハマるという感じではないです。


ところで、主水さんシリーズはドラマ化されておりますが、主水さんは高橋克典さんだったんですね…

わたしのイメージでは

松重豊さんなんですがね…。

最近NHK見てたらトーク番組に出演されてたのですが、白髪になっていてビックリしましたが。



齋藤薫さんの「されど“服”で人生は変わる」を読んだ。

されど“服”で人生は変わる

洋服や靴やカバンが結構好きなので、ファッション雑誌やコーディネート本などは機会があれば割と手にとる方です。

で、最近のコーディネート本にありがちな、とりあえずユニクロとGUと海外ファストファッションブランドをひたすら組み合わせて、「これが高みえ」と高々と宣言するような内容が表面的に見えてしまっていたところにこの本を読んで、「そうそう、表面的なコーディネートだけじゃなくてこういう根本的な考え方を教えて欲しかったんだよ、私は!」と膝を打っておりました。(ていうか、「⚪︎⚪︎見え」って誰が言い出した。若干食傷気味。)

 

「男たちは、スーツを着てセクシーに見える女が好きだった」

初っ端のテーマがこちらです。

男性にインタビューをすると、意外とスーツというかスーツが似合う女が好きという回答が多いのだそうです。これはスーツを礼賛しているわけではなく、作者は、スーツとはその人の中に潜んでいる頭の良し悪しみたいなものを露骨に出してしまうから、スーツが似合うかどうかはその人が本当にカッコ良いかどうかの判断基準になるということを言っております。なるほどね〜

後から見たら、この原稿が執筆されたのが結構昔(2000年代前半に雑誌で連載していたエッセイを集めた内容だった)で、当時は、今ほどプチプラ万歳みたいな風潮でなかったから、プチプラの話が出てこないのかもしれませんが、スーツの話が書いてあるコーディーネート本ってなかなかないので新鮮でした。

私はスーツに準じる服装で勤務しているので、巷のファッション雑誌でいわゆるお仕事服と表現されているものは、「こんなカジュアルな服で会社になんて行けないよ」と心の中で呟いていたので、スーツにスポットを当ててくれたのは新鮮であり嬉しかったりもしました。

 

また、男と一緒に歩くときは男より上等な女の服装をすべしとか、女と会うときは尊敬されるようなセンスを見せろということが書かれているのですが、面白かったのは、では男も女もいる場所では?という問いに対する答えが、ネイビーが無敵ということでした。

男と会うときは、くすんでいない色の服を着ることが鉄則であるという点でネイビーはクリア、女と会うときはやっかまれない服である必要があるので、女目線の地味色であるネイビーは基準クリアということになり、みんな笑顔の服がネイビーなのだそうです。さらにストライプもネイビー同様両方から好感を持たれる柄ということで、ということは、ネイビーにストライプの柄のワンピースとか無敵なんじゃないの・・・と思ってしまいました。

冒頭で、スーツの話題が出たものの、本全体は、「きちんとカジュアルで一目置かれるのがオシャレさん」という内容で、オシャレであるためには、小物使いに命を懸けよと繰り返し記されています。

なんとなく分かっていましたが、改めて言われると身が引き締まる思いがしますよね。(何に対して?)

実は、私は「キレイめカジュアル」(上記の「きちんとカジュアル」ではない。)に対し、キレイめなのかカジュアルなのか中途半端なんじゃ!と常に心の中で叫んでおりました。

ところが、「キレイめカジュアル」と「きちんとカジュアル」がほぼ同義とするならば、「キレイめカジュアル」を制さないことにはオシャレ道極めることにあらず、であることに雷を打たれるような衝撃を受けて、キレイめカジュアルも積極的に頑張ってみようかなと考え始めました。

 

そう、この本はオシャレを頑張ることに対して前向きになれるよう背中を押してくれる本なのです。

昨今のファッションに関する思想の流行りは、ミニマリスト思想であったりプチプラ礼賛であったり、オシャレに投資をすることとは反対の風潮となっています。

しかしながら、この本はオシャレに投資することで、自分が輝けることをハッキリと謳っていて、目的がきちんとしていれば高い服を買ってもいいんだ!と思えたり、ワクワクした気持ちになることができました。

(まあ、この本が書かれたときから随分と年数が経過しているので、齋藤薫さんも今だったら同じ内容は書かないかもな・・・とは思わないことはないですが。)

 

週末に向けて手持ちの服などのコーディネートを考えるのが楽しみでたまりません。

 

 

 

有川浩さんの「レインツリーの国」を読んだ。

レインツリーの国 (新潮文庫)
読みました。
このお話は、図書館戦争シリーズで出てきた童話を舞台等を少し変えて小説にしたものと認識しています。
学生時代に読んだライトノベルの感想を誰とも分かち合えなかった青年男性が、偶然ネットでそのライトノベルの感想を書いてあるサイトを発見して、そのサイトの管理人と連絡を取り合います。
管理人は同世代の女性で、メール交換をしているうちに直接会いたくなってしまう男性。
思い切って会う約束を取り付けますが、要所要所で彼女の様子が不自然であることに気づきます。自分といるのが苦痛とは思われないが、自分の喋ったことが全て伝わっていなかったり、こだわるポイントが独特だったりするのです。
デートの終わりかけ、あるトラブルをきっかけに彼女が中途失聴者であることが判明します。
その後、男性は中途失聴者であってもこれからも会って話したいとメールで伝え、お互い努力をすることを決めますが、考え方にすれ違いの日々が続きます。
あれやこれやを経て、一山越えたかなという明るい展望が拓けたところで物語が終了します。

私は身近に明らかな障害者がいないので、主人公の彼のような思いをしたことがありません。
確かに、健常者だけの発想だと、「ヒトミ」とああいう風にすれ違うんだろうなという感想です。
百聞は一見にしかずというか、いくら分かる努力をしても実際接してみて初めて分かることが沢山あるのだろうと思ったのと、それは障害者の方との交流だけでなくその他の事象についてもそうなんだろうなと改めて感じました。だからと言って、初めから分かる努力を放棄してはならないし、だからこそ相手も理解してくれようとするのかもね、とぐるぐる考えてしまいます。

ところで、ヒロインの「ヒトミ」は垢抜けない風貌ですが、聡明であるという設定です。
だから文字同士の交流時点で、主人公が会いたいと思ったわけですが。

で、前から思っていたことなんですけど、この小説に限らず小説を読んでいていつも思うのですが、小説に出てくる男性や女性ってみんな魅力的に描かれますよね。特に女性。現代小説でも時代小説でもそうです。美人で聡明で一本筋が通っていて勇気がある・・・みたいな女性ばっかりじゃないですか、小説の登場人物って。武士の娘のお雪とか!(イメージ)
もちろん、そうじゃない登場人物もいるはずなんですけど、なんでですかね。

漫画だと、美人でもなくおっちょこちょいだけど憎めないヒロインがいい男と結ばれるという話がゴロゴロありますよね。
それをそのまま小説にしたら、なんか・・・無理があるというか、「美人でもなくおっちょこちょいだけど憎めない」以外の情報を付け加えないと、いい男と結ばれる理屈が立たないことになります。
で、あれこれと上記以外の魅力的な部分やエピソードを加えていくと、自ずと正真正銘の良い女のように描かれることになるのかもしれないな、と結論付けました。

それにしても、やっぱり有川さんの描く男性はカッコ良いです。
身近に魅力的な男性が多いのですかね。

なお、有川浩さんを読みまくるシリーズは一旦ここで休憩します。

有川浩さんの「シアター!2」を読んだ。

シアター!〈2〉 (メディアワークス文庫)
シアター!に続き読みました。
今度は、シアターフラッグのメンバーそれぞれにスポットを当てたお話が詰まっていました。
黒川が劇団の運営に目覚める話、ゆかりにチャンスが回ってくる話など、劇団てこういうエピソードが沢山あるところなんだろうなぁと思いました。
それにしても、司さんが筋が通っていて格好いいですよね。有川浩さんの小説には、司さんのような一見厳しそうだけど、言ってること間違ってなくて考えさせてくれて、総合的に優しいみたいな男性がよく登場するなと思うのですが、みんな格好いいですよね。
そんな人物が現実世界にいたら良いのに…。
割と男性の多い職場にいるのに、見渡してみてもいませんでした。
もしかしたら、自分の年齢によるのかもしれません。これが、大学卒業したばかりの若手だったら、そういう風に見える先輩がいたかもしれないですね。

巻末に「シアター!3」に続くとあったので、さて読もうと検索したところ、事情があって執筆されないとのこと。残念ですが、作者が決めたことだから仕方ないですね。

有川浩さんの「シアター!」を読んだ。

シアター! (メディアワークス文庫)
有川浩さんシリーズということで、読みました。
本当はこの本を読む前に、すごく字の多い小説じゃない本を読み始めたのですが、小説家が書いているわけではないから文章そのものに引き込まれないし、専門的な内容なので登場する漢字が読めない事態に陥り、読書継続を断念し、今に至ります。

シアター!」は、小劇団を主宰している経済観念ゼロの弟から、300万円貸してほしいと無心されたしっかり者の兄が、2年後までに劇団の売上のみで返済することを条件にお金を貸してあげると同時に、自分が経理的な役割として劇団に関わっていくというお話です。

今回も楽しく読めました。
朝の電車で読み始めて、昼休み、帰りの電車で読み終わることができて、スッキリ。
劇団の舞台は見に行ったことがないのですが、一つの公演を作り上げるには、芝居そのものだけでなく、セットとか運営、経理、広報など様々なパワーが必要なんだなと分かりました。

劇団員は食えないというのは全体を通して書かれていますが、兄は食えないのに演劇を続けようとしている弟達が理解できない様子です。
演劇をしている人は、貧乏でも好きなことに打ち込める環境がある方が良い人が多いと思うのですが、そこまでのめり込む理由って何なんでしょうね。

思い返せば、子供達は幼稚園や保育園の頃から劇に参加させられますよね。理由は、他の人の気持ちになる劇が子供の成長に有益だとか、チームワークを学ぶためとかそれなりのものがあるのでしょう。

それを踏まえると、ほぼ全員の子供に演劇の機会を与えておきながら、将来的に演劇で食べていける人は一握りという、何とも無責任な感じはします。
あ、でもその理屈だとお絵描きや音楽も同じですね。しかし、絵画や音楽は演劇ほど往生際が悪い人はいないような気がします。成果物が形に残るので客観的な評価を受け入れやすいのかもそれません。

ひきかえ演劇は、映像に残すという手段があるものの、空気感も作品の一部だし、評価は主観によるところが大きいと思われがちだし、大勢で作るものだから責任が分散し、まだ望みがあるのかも…と思われがちなのかもしれないなと思いました。