有川浩さんの図書館戦争シリーズを読んだ。
以前から気になっていたのですが、なかなか読む機会がなくて、ブームになってからかなり月日が経っているので今更感はありますが、読みました。
昭和の次の元号が架空の正化となり、表現の自由が制限される法律が成立した日本。
図書館だけが表現の自由を正当に守ることができ、表現の自由を守るため軍事的な訓練も行っている。主人公の笠原郁は、図書館を守る図書隊員のエリート部隊である図書特殊部隊に配属され、失敗を重ねながらも持ち前の熱い心と、高校生の時に自分と本を守ってくれた図書隊員への憧れを胸に修行に励みながらのアレコレというお話ですね。
私が読んだ文庫は6冊で構成されています。
図書館内乱(図書館戦争シリーズ②)
図書館危機(図書館戦争シリーズ③)
図書館革命(図書館戦争シリーズ④)
感想としては、
一冊目は正直言うと、図書隊や良化委員会等の設定がスッと理解できず、早く先を読みたいから食事やトイレに行く時間も惜しいという感じではありませんでした。世界観に慣れていなかったということでしょうか。
交戦規程とか、一歩間違えれば死ぬよねというような細かい疑問が湧いてきて、ストーリーに集中出来なかった面があります。この歳になってくると、健康な生活や命など、武力衝突で失われるものをリアルに想像できるようになってしまって、もしも本当にこんな世界になっていたら、図書隊と良化委員会以外の社会が現実世界とほぼ同じなわけないだろう(もっと何らかのひずみというか不安定さが出ているはず)という思いから、物語にのめり込めなかったのだと思います。こんな考え方をしてしまうとは、大人になるってちょっとつまらないですね。
ところが、2冊目以降になると設定やキャラの性格が理解できているので、(というか世界観に慣れたのでしょうか)もう読むのが止まらなかったです。通勤電車で読み始めたら、会社に着いても始業時間まで自席で読んだり、昼休みもギリギリまで読んだし、夜も寸暇を惜しんで読みました。
良化委員会との戦闘そのものと言うより、人間模様や戦闘以外のアクシデントへの対応が多く描かれたので、入り込みやすかったのかもしれません。
茨城の図書館の一件はスカッとしましたが、玄田隊長助かってよかった〜と思いました。だって、頭を撃たれたら完全に死んでいたでしょ。
当麻先生との逃避行も面白かったですが、地下鉄使っていいんだ!と思ってしまいました。何しろ、山手線の内側の地下鉄は仕事で良く乗るのでリアルに想像するとイマイチ現実味がなくなってしまうんですね。いや、架空の日本だから現実味とか必要ないんですけど。
のめり込むものの、戦闘に関しては上記のようにうがった見方をしてしまうのが悪い癖だなという感じですが、人間模様はすごく面白かったですし、文章自体は嫌味なくすごく好みでした。
さて、お前は設定に文句があるのかないのかどっちなんだという感想を書きなぐっていますが、もう1点だけ。
現実社会ではよっぽどアットホームな会社を除けば、社内恋愛や社内結婚に何らかの制限がある会社が多いと思うんですよ。中小企業ですと、どちらかが辞めないといけないとか(暗黙の圧力)、同じ部署で結婚したらどちらかを異動させるとかです。
なので、堂上教官と郁は、同じ隊内で結婚したわけですが、異動とかしなくて良いの?とめちゃくちゃ気になりながら読んでいました。
一般的なケースでは、周りもやりづらいですし、仕事を休まなければならない家庭の事情が発生した場合、二人同時に休んだら業務に支障が出ますよね。
とはいえ、小説の中では、同じ隊の方が面白いし、隊が別れると公休も一緒でなくなって可愛そうだし、他の部署へ異動させるのも適性を踏まえると非効率ですから、これで良かったのかなとは思いますけど、せめて他の隊に異動とかはなかったのかな…と夢も希望もない感想を抱いてしまったのでした。
あれこれ書きましたが、全面的に面白くて、読んで良かったことは確かです。
有川さんの他の本も片っ端から読んでみようかなと思います。